※この記事は2022年11月に行った管理人の調査をもとに作成しています。誤りを含んでいたり、最新の情報を反映できていない可能性もありますので、あくまでも参考程度にお読みください。
※受給に必要な書類や作業は人によって異なるため、海外在住中に教育訓練給付金を受給希望の方は、海外渡航前に必ずハローワークへ赴き事前相談を行ってください。
日本では仕事をしていたけど、家族帯同期間は仕事をしない駐在妻/夫の方々は、帰国後の自身のキャリアについて不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
帰国後に仕事に戻る予定だけど、ついて行けるか心配。。。
できることなら少しでもスキルアップして帰りたい。。。
日本での仕事は退職したが、できればスキルアップして、帰国後に再就職したい。。。etc
そして、その不安に立ち向かうため、勉強を始めようとしている方も多いのでは。
そんなあなたに朗報です!受給資格を満たしていれば、海外でも教育訓練給付金を受けることができるのです。
あなたが帯同先で始めようとしているその勉強、費用の一部を給付金で賄うことができるかもしれませんよ!
今回は、日本に置いてきた仕事が気になる方、スキルアップして本帰国後に再就職を希望している方向けに、海外で教育訓練給付金を受給する方法を解説します。
教育訓練給付とは?
教育訓練給付の概要
教育訓練給付とは、一定の条件を満たした状態で対象の講座を受講すれば、受講費用の一部を国が負担してくれる制度です。
厚生労働省のHPでは以下のように定義されています。
-厚生労働省のホームページより(2022/11/6時点)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
教育訓練給付の種類と支給要件
教育訓練給付で受け取れる給付金額と支給要件は分類によって異なります。
以下に各給付金の説明と、支給要件をまとめました。
1. 教育訓練給付金
支給要件を満たした上で、厚生労働大臣が指定する講座(教育訓練)を受講した場合支払われる給付金のこと。
教育訓練の種類によって支給要件と支給額が異なります。
支給要件期間 ※1 | 支給額 | 追加支給 | 上限額 | |
一般教育訓練 | 雇用保険の加入期間※2が3年以上(初回は1年以上) | 受講費用×20% | – | 10万円 |
特定一般訓練 | 雇用保険への加入期間が3年以上(初回は1年以上) | 受講費用×40% | – | 20万円 |
専門実践教育訓練 | 雇用保険への加入期間が3年以上(初回は2年以上) ※3 | 受講費用×50% | 受講費用×20% | 支給額:年間40万円 追加支給:年間16万円 支給期間:3年分 ※4 |
※1:離職した翌日から1年以内に受講を開始した場合、離職までの雇用保険の加入期間が支給要件期間を満たしていれば、教育訓練給付金を受給できる。また、妊娠や病気などの理由で教育訓練を開始できない場合、ハローワークに申請すれば適用対象期間を延長することができます。
※2:この場合の雇用期間の加入期間とは、同一の事業主の適用事業に被保険者などで雇用されていた期間のこと。他の事業主に雇用されていた場合も、空白期間が1年以内であれば期間として加算される。
参考リンク:
※3:受講修了日から1年以内に資格の取得等をし、雇用保険の被保険者として加入した場合、追加支給の対象となる。
※4:支給期間の上限は通常3年分だが、受講講座によっては4年分支給される場合がある。
2. 教育訓練支援給付金(2022年11月6日現在:2025年3月31日までの暫定措置)
専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給している人のうち、以下の条件を満たしている人が受け取ることのできる給付金です。
こちらの給付金を受給すると、雇用保険の基本手当の日額80%を支給する制度です。
因みにですが、こちらの教育訓練支給給付金は通信制もしくは夜間制の講座では受給できないため、海外への家族帯同期間に給付されるのは難しそうです。
大まかな受給条件↓
●失業している。
●受講開始時に45歳未満
●受講する専門実践教育訓練が通信制もしくは夜間制ではないこと。
●受給資格確認日に、雇用保険に加入していないこと。(日雇い被保険者なども含む)
●会社などの役員に就任していないこと。※例外あり
●自治体の長に就任していない。
●教育訓練支援給付金もしくは、教育訓練給付金を受講したことがない。※例外あり
●専門実践訓練の受講開始日が令和7年3月31日以前であること。
etc…
上記は2022年11月の調査結果を抜粋したものです。詳細はこちらの厚生労働省のサイトをご確認ください。もしくは、最寄りのハローワークにご相談ください。:
教育訓練給付制度について紹介しています。…
海外での受給方法
海外に在住したとしても、受給資格さえ満たしていれば、郵送で教育訓練給付金を申請することが可能です。
さらに、特定一般訓練と専門実践教育訓練は、受講開始の1か月前までにジョブカードの作成と訓練前キャリアコンサルティングを受講する必要がありますが、これもオンラインで実施することが可能です。
必要な書類
ハローワークのインターネットサービスから必要な書類の情報を表にまとめました。
ただし、調査した時点での情報なので、最新の必要書類情報については以下のリンクを参考にしてください。
一般的な申請書類についての詳細:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
郵送申請で必要となる書類についての詳細:https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-hellowork/content/contents/000967749.pdf
上記のリンク先の内容について、表にまとめました。
もしよければご確認ください↓
一般教育訓練
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受講前 | なし。指定講座受講後に申請する。ただし、自分が受給資格者かあらかじめハローワークで確認したほうがよい。 |
講座修了後 | 1.教育訓練給付金支給申請書
2. 教育訓練修了証明書 3. 領収書 4. キャリアコンサルティングの費用の支給を申請する場合は、キャリアコンサルティングの費用に係る領収書、キャリアコンサルティングの記録、キャリアコンサルティング実施証明書 5. 本人・住所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類(詳しくはこちら新規ウインドウで開きます) 6. 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要) 7. 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(「払渡希望金融機関指定届(教育訓練給付金支給申請書に記載欄があります。)」に払渡希望金融機関を記載。なお、雇用保険の基本手当受給者等であって既に「払渡希望金融機関指定届」を届けている方は、記載不要です。一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。) ※2 8. 教育訓練経費等確認書 9. ハローワークへの来所が困難であることの理由説明書 |
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特定一般訓練
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受講前 | 1. 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
2. 上記のジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの) ※3 3. 本人・住居所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類(詳しくはこちら新規ウインドウで開きます) ※1 4. 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(「払渡希望金融機関指定届(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票に記載欄があります。)」に払渡希望金融機関を記載。なお、雇用保険の基本手当受給者等であって既に「払渡希望金融機関指定届」を届けている方は、記載不要です。一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。) ※2 5. 専門実践教育訓練給付および特定一般教育訓練給付再受給時報告(再受給の場合は必要になる) 6. ハローワークへの来所が困難であることの理由説明書 |
講座修了後 | 1. 受給資格確認通知書
2. 教育訓練給付金支給申請書 3. 教育訓練修了証明書 4. 領収書 5. 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要) 6. 特定一般教育訓練給付受給時報告書 7. ハローワークへの来所が困難であることの理由説明書 |
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専門実践教育訓練
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受講前 | 1. 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
2. 上記のジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの) ※3 3. 本人・住居所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類(詳しくはこちら新規ウインドウで開きます) ※1 5. 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(「払渡希望金融機関指定届(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票に記載欄があります。)」に払渡希望金融機関を記載。なお、雇用保険の基本手当受給者等であって既に「払渡希望金融機関指定届」を届けている方は、記載不要です。一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。) ※2 7. ハローワークへの来所が困難であることの理由説明書 |
講座修了後 | 1. 教育訓練給付金の受給資格者証(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証)
2. 教育訓練給付金支給申請書 3. 受講証明書又は専門実践教育訓練修了証明書 4. 領収書 5. 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要) 6. 資格取得等したことにより支給申請する場合は、資格取得等を証明する書類 7. 専門実践教育訓練給付最終受給時報告(専門実践教育訓練に係る最後の支給単位期間について教育訓練給付の支給を受けようとする場合に必要です) 8. 専門実践教育訓練給付追加給付申請時報告(専門実践教育訓練修了後、資格取得等したことにより支給申請した場合に必要です) 9. ハローワークへの来所が困難であることの理由説明書 |
※1 在住している国の住民票とその和訳が必要。さらに、マイナンバーカードは海外転出する際に失効するが、この場合失効したマイナンバーカードの写しを添付すれば十分。しかし、各担当者によって見解が異なってしまう場合があるのでここはハローワークで事前の確認と念押しが必要。また、失効したマイナンバーカードは捨てずに必ず手元に置いておきましょう。
マイナンバーカードについて参照:
※2 日本国内の口座のみ受け取り可能
※3 訓練前キャリアコンサルティングは日本でのみ可能。ハローワークに早めに相談したほうが良い。
手続き方法
上記の書類を揃え、申請期限内に管轄のハローワークに郵送します。
ここで言う管轄のハローワークとは、海外転出時点で免許証に最後に記載されている住所を管轄するハローワークのことを指します。
各書類の期限は以下の通りです。
受講状況 | 申請期限 | |
一般教育訓練
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受講前 | ー |
修了後 | 教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1か月以内 | |
特定一般訓練
|
受講前 | 受講開始日の1か月前まで |
修了後 | 受講修了後1か月以内に申請 | |
専門実践教育訓練
|
受講前 | 受講開始日の1か月前まで |
修了後(or受講中) |
受講中の支給申請:専門実践教育訓練を受講中は、受講開始日から6か月ごとの期間(支給単位期間)の末日の翌日から起算して1か月以内が支給申請期間になります。
修了後の支給申請:専門実践教育訓練を受講修了したときは、受講修了日の翌日から起算して1か月以内が支給申請期間になります。
修了後の追加給付:専門実践教育訓練を修了し、受講から1年以内に資格取得等し、かつ、被保険者として雇用された日の翌日から起算して1か月以内
|
手続き期限の参照:
日本で済ませること(必須)
●海外移住前にハローワークと事前相談 and 必要書類の受け取り
2022年末時点では、海外で教育訓練給付金を受け取るということが一般的ではありません。そのため、海外移住後に教育訓練給付金の申請自体は可能だとしても、その申請方法は海外在住者向けに整備はされていないのです。
給付金の種類によっては日本で行う必要がある作業もあります。書式の変更などによって、日本でしか受け取れない書類も出てくるかもしれません。
海外移住後に準備を始めると思ったより時間がかかってしまったり、何かを揃えられず断念することになりかねません。
そういった事態を避けるためにも、日本にいる間に、海外転出前、最後に住民票がある地域を管轄するハローワークに事前相談しましょう。
また、受講者の状況によって必要な書類は変わるため、ハローワークで手に入るものは受け取っておくほうが安全です。
インターネット上にpdfが掲載されていたりしますが、最新のものかどうかなども分からないため、きちんとハローワークに事前相談することをお勧めします。
●支給要件照会→訓練前キャリアコンサルタント面談(特定一般訓練、専門実践教育訓練)
特定一般訓練、専門実践教育訓練を受講する前に必要な面談です。
これは日本でしかできない作業なので、管轄のハローワークで行いましょう。
ここで作成したジョブカードが資格受給に必要となります。必ず講座受講前、期限前に行いましょう。
●日本に在住している人に通知書類を受け取ってもらえるようお願いする
教育訓練給付金を受給する際、ハローワークから通知書類などが届きますが、それは海外に郵送できないそうです。
なので日本で自分の代わりに通知書類を受け取ってくれる人を探してお願いし、書類郵送時に、その方の住所を通知書の送付先としてメモ書きで添付する必要があります。
●マイナンバーカードの取得と、失効したマイナンバーカードが使えるか念押しの確認
教育訓練給付金を受給する際はマイナンバーが必要となります。
そのため、マイナンバーカードを提示する必要があるのですが、海外では失効してしまいます。
失効したマイナンバーカードは返却することが推奨されている場合もあるのですが、この場合必ず手元に持っておきましょう。
そもそもマイナンバーカードを持っていない人は必ず取得しましょう。
また、失効したマイナンバーカードを提示すれば情報としては十分なのですが、こういった事例はまだレアケースのため、ハローワーク側が慣れておらず、窓口の担当者の方によっては言う事が違うなどままあります。そのため、事前に役所のマイナンバー担当の方とも連絡を取りながら、念押しすることをお勧めいたします。
まとめ
ただし、日本にいる間に必ずハローワークへ相談しよう!
さらに、マイナンバーカードは絶対に日本で取得しよう(例え海外転出で失効するとしても)!